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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

分裂促進因子活性化タンパクキナーゼシグナリングは、悪性腫瘍細胞を細胞生存を促進するような細胞外マトリックス生合成を差動的に変化させる。

Anna Afasizheva;...;Yorihisa Kotobuki;...;Kandice Tanner(2016.5, BMC Cancer.)[Mitogen-activated protein kinase signaling causes malignant melanoma cells to differentially alter extracellular matrix biosynthesis to promote cell survival.]

 

理由

授業の予習

 

概要

背景:薬剤治療に対する自然耐性と獲得耐性は、悪性腫瘍患者にとって困難なままである。腫瘍微小環境中の腫瘍内不均一性によって薬効や獲得耐性の決定がさらに複雑になっている。

方法:ここでは3D生体模倣場を用いて分裂促進因子活性化タンパクキナーゼ(MAPK)シグナリングに対する医学的介入に従う細胞外マトリックス(ECM)生合成におけるダイナミクスを理解する。さらに、同質遺伝子の悪性腫瘍細胞クローンによって、分泌性ECM構成要素の時間変化を決定した。

結果:細胞クローンは密な繊維と小球体ネットワーク内に無数のECM分子を差動的に分泌し集合させることを発見した。細胞は、外の障害に応答して細胞のECM生合成を調節できることがわかった。フィブロネクチン(FN)は重要な構造要素のひとつであり、薬剤治療の幅広い範囲の薬効を調節する。最小量のFNを分泌するように作成した安定的な細胞系列は、テナシンCの分泌に付随して増加し、クローン由来の3D腫瘍集合としてBRAF(V600E)とERK阻害感受性になった。これらの細胞は細胞とECMのクロストークを促進するインテグリン活動を維持しているにもかかわらず、外因性FNを集積できなかった。p38 MAPKとβ1 インテグリンを介してFN産生が上昇しているクローンだけが薬剤治療で生存していることを同定した。

結論:これらのデータから、腫瘍細胞はそれらのECM生合成を変えることによって薬剤抵抗性を巧みに工作する。したがって、薬剤治療は新しい抵抗性につながるECM生合成を誘導する可能性がある。

 

雑記

なんで悪性腫瘍だけがこんな上手く増殖するしくみを持ってるんだ、と感心したけど、こういう仕組みをたまたま獲得してバカ増えたから悪性腫瘍と呼ばれるようになっただけだった。原因と結果をとらえ間違いがち。