これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

皮膚T細胞リンパ腫の分子的細胞的基礎に関する知見

Yumeen S; Girardi M.(2020.3, Yale J Biol Med.)[Insights Into the Molecular and Cellular Underpinnings of Cutaneous T Cell Lymphoma.]

 

理由

博論の参考文献

 

概要

皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は皮膚常在Tリンパ球の稀な悪性腫瘍である。全エクソームシークエンス解析の進化によって、CTCL細胞に存在するドライバー変異として、一塩基変異(SNVs)とゲノムコピー数変化(GCNAs)の両方が大量に同定されてきた。これらの変異は、いくつかの重要な経路に集中していた。例えば、T cell/NF-κB/JAK-STAT活性化、細胞周期の制御異常やアポトーシス、DNA構造の制御異常が影響する遺伝子発現などであり、これらは増殖している活性化した腫瘍Tリンパ球集団の維持を可能にする。CTCLの臨床スペクトラム、遺伝子変異、発癌性行動がかなり解明されてきた一方で、CTCL悪性転換や進行の根底にある疫学はほとんど知られていない。ここでは、CTCLの疫学、臨床所見、病態生理をまとめ、CTCLの病態形成に関する知見を与える。成熟、活性化したTリンパ球がアポトーシス耐性や皮膚の常在性を得る一連の変異をまとめる。染色体構造制御を含むその後のゲノム変化が、さらにT細胞の増殖と構造的な活性化を促進する。CTCL細胞は悪性細胞かつ高度に機能的なT細胞であり、患者に対し主に皮膚や免疫的効果、例えば悪性腫瘍細胞の拡大を促進する細胞調節性免疫の抑制などの効果を持ちうる。CTCLの分子的細胞的基礎をより深く理解することは、臨床管理に加えて、予後予測や治療発見の指示を助けうる。

 

印象的な図

Figure 2 菌状息肉症(MF)とセザリー症候群(SS)の皮膚所見。(A)典型的なMFにおける非対称の斑

 

雑記

このブログが投稿されるころ、博論発表はきっと終わっていることでしょう。