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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

メラニン細胞におけるオートファジーの調整不全は結節性硬化症における脱色素斑に寄与する

Fei Yang;...;Atsushi Tanemura; ...;Ichiro Katayama(2018.2, J Dermatol Sci.)[Dysregulation of autophagy in melanocytes contributes to hypopigmented macules in tuberous sclerosis complex.]

 

理由

授業の予習

 

概要

背景:結節性硬化症(TSC)遺伝子変異によって、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)経路が構成的に活性化し、幅広い症状を起こす。脱色素斑は最初の兆候である既に、局所ラパマイシン治療(an mTOR阻害剤)はTSC患者の斑の低色素沈着に対して保護することを確認しているが、このような皮疹の病理はほとんど理解されていないままである。

目的:最近出てきた証拠から、皮膚の色素化におけるオートファジーの役割が支持されている。ここでは、TSC関連脱色素化のオートファジー調整不全の影響を調べた。

方法:特徴的な脱色素斑を示すTSC患者10人と6人の健康なドナーからの皮膚サンプルを用いて免疫組織染色と電顕解析を行った。加えて、ヒトの表皮メラニン細胞においてTSC2-ノックダウン(KD)をメラニン含有試験、リアルタイムPCRウェスタンブロッティング解析そして細胞内免疫蛍光染色で調査した。

結果:TSC患者の脱色素斑とTSC2-KDメラニン細胞において、mTORシグナリング経路の活性はメラニン細胞の色素化が減少した。加えて、LC3発現(オートファジーのマーカー)とオートファゴソーム数が増加している一方で、オートファジー分解基質(p62 とユビキチン化タンパク質)の細胞内蓄積はTSC2-KDメラニン細胞で明らかであった。さらに、オートファジーの阻害によってTSC2-KDメラニン細胞の脱色素化が蓄積し、mTOR依存的もしくはmTOR非依存的な照射を介したオートファジーの誘導によって完全に逆転した。最後に、TSC関連脱色素斑のメラニン細胞において、LC3発現の上昇とユビキチン化タンパク質の蓄積が特徴であるオートファジーの調節不全が観察された。

結論:データによって、TSC患者のメラニン細胞はオートファジーの調節不全を示し、それにより色素化が起こり、TSCの脱色素斑の原因となる。

 

雑記

[目には目を、歯には歯を]なのに、無言リクライニング倒しには無言リクライニング倒しを返せなくて悔しい思いをした。