これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

社会的かつ移動性の粘液細菌は、成長、移動性そして菌体外多糖によってコロニーを拡大する

Pintu Patra;...;Oleg A. Igoshin(2016.6, PLoS Competational Biology)[Colony Expansion of Socially Motile Myxococcus xanthus Cells Is Driven by Growth, Motility, and Exopolysaccharide Production]

 

理由

Biological traveling waveの論文

 

概要

粘液細菌は、細菌における多細胞的な行動の研究においてよいモデル生物であり、2つの異なる協調した移動メカニズムを用いて固い表面上だけを移動する。この中で、社会的(S)は、Ⅳタイプの繊毛の伸長と伸縮によって起こっており、隣接細胞によって産生される菌体外多糖が必要である。結果として、S移動性には細胞間の密接な近接が必要であり、単離した細胞は移動しなかった。アガロースゲル上のコロニー拡大を観察することでS移動性を測定した先行研究から、拡大率は初期細胞密度に伴って増加することが示されたが、関連する生物物理的メカニズムはほとんど知られていない。S移動性駆動型のコロニー拡大のダイナミクスを理解するために、細胞密度とEPS移動と栄養が拡大率に与える影響を記述する反応拡散モデルを作成した。結果から、定常状態では、集団はフィッシャー方程式のよく知られている特徴である細胞の移動性と成長の相互作用によって定義されるスピードの進行波として拡大することが分かった。このモデルによって、初期細胞濃度依存的な期間の非常にゆっくりな拡大の一過的なピリオド、つまりラグ段階の存在を示すことでコロニー拡大の密度依存性が示された。ここでは、初期密度が低い場合に、S移動性を活性化するために十分なEPSを蓄積するために細胞がより多くの時間を必要とすることを提案する。さらに、このモデルから、ラグ段階に続いて集団は細胞密度非依存的に一定速度で拡大するという予測を示す。これらの予測は、長期間の拡大ダイナミクスを捉えるS移動性実験によって証明される。

 

印象的な図

Fig4. 長期の拡大実験の定量解析

 

Discussion

・生物学における反応拡散と、この論文で再現したこと、モデルからの予測

・実験で示せていないこととモデルの有効性。モデルを裏付ける実験の提案

・モデルの応用

 

雑記

「Biologyをやってる」と言った時に「君は生き物が好きなのか、科目としての生物学が好きなのかどちらか」と初めて聞いてもらえた。私は常々この違いを感じているところだったので、ニコニコしながら「科目として好きです!生き物それ自体はそんなに好きじゃない!」と言って相手を驚かせてしまった