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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

真核細胞の走化性反応における確率シグナル過程と伝達

Masahiro Ueda; Tatsuo Shibata(2007.7 Biophys J.)[Stochastic Signal Processing and Transduction in Chemotactic Response of Eukaryotic Cells]

 

理由

 理論生物学」第3章3-1 「細胞における情報処理の確率性と自発的対称性の破れ」の参考文献

 

概要

真核細胞における化学走性反応の1分子イメージング解析によって、入力シグナルとシグナル伝達過程における確率的な性質が解明された。このことから、シグナル過程に関する以下のような基本的な疑問が生まれる。このシグナリング系は確率的な摂動やノイズをどのように制御するのだろうか?ここでは、化学走性のシグナリングの確率モデルを報告する。このモデルは化学誘引物質受容体による膜貫通シグナリング経路に沿ってノイズとシグナル拡大を定量的に解析できる。この解析から得られた結果から、受容体によるセカンドメッセンジャー産生反応が、リガンド受容体結合から拡大されるこの反応と外部ノイズにおいて本質的に産生される内在ノイズを含むノイズシグナルを生み出す。このような内在ノイズと外部ノイズが、走化性細胞の方向感受能力を制限する。これは、実験的に観察された化学勾配における走化性の正確性の依存して説明される可能性がある。解析において、受容体とセカンドメッセンジャー分子の確立的特性によって化学シグナルのSNRがどのように向上または低下するかを解析することで、確率的に制御されるシグナリング系におけるシグナル改善の制御メカニズムが解明される。走化性シグナル系によってノイズのあるシグナル伝達を理論的に考えることは、一般的なシグナリング系に応用できると考えられる。

 

雑記

ふと見たベランダでトンボがしんどそうに翅を休めていた。君も暑かろう