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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

ヒト頭蓋形態に応用する発生の運河化のモデル

Philipp Mitteroecker; Ekaterina Stansfield(2021.2, PLOS Comp. Biol.)[A model of developmental canalization, applied to human cranial form]

 

理由

ラボSlackで流れてきたやつ

 

概要

生物の発達(目的成長や代償成長)の摂動を方向付けて補填する発生メカニズムは、個々の健康や複雑な生物の進化の前提条件と広く考えられているが、これらのメカニズムの性質についてはほとんど知られていない。さらに、個々の発生の”目的の軌道"が個体の遺伝-発生的系でどのように指定されているのか、また実際に副現象としてどのように現れるのかも不明である。ここでは、拡張した自己回帰モデルに基づく発生の方向付けの統計モデルを作成する。特定の条件下で、方向付けの強さや集団における方向付けの変異の量は、たとえ目的の軌道が観察されなくても縦断的な表現形測定から推定、少なくとも近似されることを示す。このモデルを多変量測定に拡張して、次のパラメーターマトリックスの修正を議論する。これらの方法を、ヒトの出生後の頭蓋顔面のサイズや形、さらに前頭洞のサイズなどの縦断的な幾何形態データに適用する。頭蓋顔面のサイズは、最初の5年間の間に強い発生の方向付けを示し、これは思春期の間の変化の継続的な増加に従って横断面サイズ変異が50%減少する。対称的に、前頭洞サイズは方向付けの兆候を示さなかった。頭蓋顔面形態の全体の変異は、5年間でわずかに減少した後に増加した。しかしながら、頭蓋顔面形態の異なる特徴は、かなり異なる発生ダイナミクスを示す。鼻咽頭の相対次元は、強い方向付けと、出生後発生を通じて変異の減少を示す一方で、顔の向きは継続的に変異が増加した。方向付けの兆候の中には、頭蓋要素の発生タイミングの独立した変異によるものもあるが、結果から、適切なサイズの上気道と顔の次元を確立する進化した、部分的に機械的に誘導される運河化のメカニズムが示される。

 

 

 

雑記

春一番、もうちょっと脱力とか覚えてほしい