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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

埋め込まれた細菌バイオフィルムにおける形態形成と細胞の順序化

Qiuting Zhang;...;Jing Yan(2021.8, PNAS)[Morphogenesis and cell ordering in confined bacterial biofilms]

 

理由

セミナーで出てきた

 

概要

バイオフィルムは、細胞外マトリックスによって囲まれた細菌細胞の集合体である。個体基質上のバイオフィルム成長の研究では多くの進歩がなされてきた。しかし、3次元で閉じ込められた環境中のバイオフィルム発生の根底にある生物物理メカニズムはほとんど知られていない。この環境では、バイオフィルムに住む細胞が増殖するために周囲の環境を押し返し、壊さなければならない。ここでは、単細胞イメージング、突然変異誘発、そしてレオロジー測定を組み合わせて、ハイドロゲルに埋め込まれたVibrio choleraeのバイオフィルムが初期サイズから4桁も成長する際の重要な形態形成ステップを明らかにした。埋め込まれたバイオフィルムにおける形態ダイナミクスと細胞の順序化は、平らな表面上のそれと本質的に異なる事が示された。弾性媒体で成長する細胞含有物として閉じ込められたバイオフィルムを扱うことで、バイオフィルムとその環境との間の硬さの違いがバイオフィルムの形態と内部構造を決定することが定量的に示された。この内部構造は、細胞の順序化の無い球状のバイオフィルムと、高度に細胞が順序化された扁平楕円のバイオフィルムを選択する。硬いゲルの中に埋め込むと、細胞は自己組織化して、ネマティック液晶糸状の液滴における分子の順序化に似た双極構造を作る。生体外の生体力学解析から、細胞の順序化は特定のマトリックス要素によって調整されるバイオフィルムと環境の界面間の応力の伝達から生じることが示された。画像技術と理論アプローチは、他のバイオフィルム形成種や、感染の間の宿主組織や粘液に閉じ込められたバイオフィルムにも潜在的に適用できる。結果から、閉じ込められた細胞集団が本来の発生プログラムと環境に晒される力学的拘束とをどのように妥協して成長するのかを理解する方法が開かれた。

 

雑記

3次元シミュレーションはここまで来ているのか