これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

細胞膜上の位相組み紐と仮想粒子

Jinghui Liu;..;Nikta Fakhri(2021.8, PNAS)[Topological braiding and virtual particles on the cell membrane]

 

理由

生物物理のセミナーでトポロジー欠損の話を聞いて、なんか面白そうだったから

 

概要

意義

位相欠陥は、物質や生物質の物理や力学を根本的に定義する頑健な粒子様の構造である。位相欠陥の例は量子超流動における渦から脳における螺旋波パターンの中心まで多岐にわたる。生物系において、このような欠損は生化学的なシグナルパターン、細胞の力、さらに細胞死の組織中心に重要な役割を果たす。直接的な実験観察と数理モデルや化学摂動を組み合わせることで、ヒトデ卵細胞の表面上に螺旋波欠損の挙動を調べた。この定量解析から、これらの欠損は複雑な組み紐、電子対生成そして消滅挙動を示すことが分かった。これらは一般連続体理論からの予測に一致する。より広くには、これらの結果から生物系と量子系における情報輸送の興味深い類似性が示唆された。

 

概要

複雑な物質場における位相構造の編組は、情報の符号化と処理のための頑健な枠組みを与える。位相構造の編組は位相量子計算の文脈で集中的に研究されてきた。生物系において、位相欠陥は生化学シグナル波の局所化と組織化に重要であるが、その編組挙動は探索されていない。ここでは、螺旋波の中心がヒトデの卵細胞の膜上でRho-GTPタンパク質のシグナル動態と力生成を組織化し、自発的な編組挙動を受けることを示す。実験的に測定した世界線の編組指数と位相エントロピーは、細胞活性と相関し、一般的な場の理論からの予測と一致した。この解析からさらに、欠損散乱事象間に仮想的な準粒子の創造と消滅が明らかになった。このことから、量子と生物との間に現象的な類似性があることが示唆された。

 

印象的な図

Fig1. 膜シグナル波の拡大中の欠損世界線挙動の直接計測

 

雑記

機嫌がいいので、SignificanceとAbstractを両方読んじゃうもんね