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熱ショック応答は刺激特異性と炎症促進性NF-κBシグナリングの感受性を制御する。

Anna Paszek;...; Pawel Paszek(2020.5, Cell Communication and Signaling)[Heat shock response regulates stimulus-specificity and sensitivity of the pro-inflammatory NF-κB signalling]

 

理由

皮膚の実験系の勉強

 

概要

背景

熱ショック応答(HSR)経路を介した温度変化に適応する能力は、最も基本的かつ臨床的に関連する細胞応答系の一つである。熱ショック(HS)は、増殖と炎症の重要な制御因子である核因子κB (NF-κB)転写因子のシグナリングと遺伝子発現応答に影響する。しかしながら、細胞が温度変化をどのように感知し適応するのかについての定量的な理解は限られている。

方法

ライブセルタイムラプス顕微鏡と数理モデリングを用いて、37-43℃の幅の生理学的かつ臨床的な温度に晒した時に、炎症性インターロイキン1β(IL1β)と腫瘍壊死因子α(TNFα)サイトカインに対するヒトMCF7乳腺癌細胞のNF-κB系のシグナリングを理解する。

結果

43℃に1時間晒すとHSは、TNFαとIL1β刺激に対する中間NF-κBシグナリング応答を阻害するが、サイトカインの取り込みは減少しなかった。HS処理4時間後、IL-1β誘導性のNF-κB応答は通常レベルに戻るが、TNFα誘導性の応答の回復はそのまま影響を受けていた。熱ショック因子1(HSF1)をsiRNAノックダウンして、この刺激特異性は阻害性κBキナーゼ(IKK)シグナロソームを介して与えられることが分かった。このとき、HS後にHSF-1依存的なフィードバックはTNFαを制御するが、IL-1β調節性IKK回復は制御しなかった。さらに37-43℃の温度の幅に晒されたときに、IKKの温度依存的な変成と回復を介して、TNFαとIL1β調節性のシグナリングが異なる温度感受性と、繰り返されるHSへの適応を示すことが実証された。特に、IL-1β調節性のNF-κB応答はTNFα処理で誘導される変化と比較して温度変化に対してより頑健である。

結論

温度ストレスに従うNF-κB系の動力学はサイトカイン特異的であり、温度変化の異なる適応を示す。この異なる温度感受性はIKKシグナロソームを介して調整される。このシグナロソームは、HSRクロストークを介した真の温度感受センサーとして機能する。NF-κBaとHSR相互作用の新しい定量的な理解は、治療的な熱中症プロトコル潜在的な最適化に重要である。

 

雑記