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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

"徳"をどのように定義すべきか? 間接的な相互利益における評価ダイナミクス

Ohtsuki, H; Iwasa, Y(2004.11)[How should we define goodness? Reputation dynamics in indirect reciprocity]

 

理由

磐佐先生シリーズ2

 

概要

間接的な相互利益の理論はひとの間の協力を説明するのに重要である。社会的相互作用の相手はしばしば変わるので、各人は評価などの社会的情報を用いてそのパートナーを評価し、その人を手伝うか手伝わないかの意思決定をしなければならない。"良い"社会評価を受けている人には返礼として手を貸すし、"悪い"評判の人を助けることは拒む。それにもかかわらず、利他主義の利益は容易に利用される。しかしながら、評価における"良さ"の定義についてはほとんど知られていない。どんな行動が良いとみなされる、またはみなされるべきか、そしてどんな行動が悪いのか?そしてどんな種類の良さが利他主義の交換を維持できるのか?ここでは、進化的観点からこの疑問に挑戦する。社会的評価を"名誉点として"一般化し、グループにおける個人が、間接的な相互利益に基づいた協力関係を安定に維持するような状況を調べる。4096の可能な場合について進化的安定戦略(ESS)の状況を徹底的に調べる。数理解析によって、"先頭の8"と呼ばれる8つの場合だけが間接的な評価の進化に重要であることがわかった。これら8つはどれも2つの特徴をあわせもっている。一つは、良い人との協力は良いとみなされる一方で、彼らに背くことは悪いとみなされる。もう一つは、悪い人に背くことは処罰として働くという理由で良い行いとしてみなされるべきである。結果によって、進化的な観点から良さ定義に向けた一つの答えが与えられる。加えて、評価のダイナミクスの理論は社会的情報が動物社会で形成されたり、扱われたり、伝達される方法の一般的な実態を与えると考える。

 

雑記

ラーメンズ[100万円]のコントを見た後なので趣深い論文である