これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

細胞様の装置内での翻訳共役的なRNA複製系におけるダーウィン的進化

Norikazu Ichihashi;...;Tetsuya Yomo(2013.10, Nature Communications)[Darwinian evolution in a translation-coupled RNA replication system within a cell-like compartment]

 

理由

セミナーでちらっと出てきて面白かったので

 

概要

生物と非生物の化学成分を分ける重要な特徴は進化する能力である。非生物分子のみから進化可能な細胞様システムを構成することは主要な問題である。ここでは、生化学分子の集合から進化可能な人工細胞モデルを作成する。この人工細胞モデルには、指定されたRNA複製酵素の翻訳を介して複製する人工ゲノムRNAが含まれている。この系を用いて長期的な(600世代の)複製実験を行った。この系では、複製エラーによって偶発的にRNA変異が導入され、進化論に従って複製能力の高い変異体が集団内で多くなっていく。進化の間に、ゲノムRNAは翻訳された複製酵素との相互作用を徐々に強めていき、それによって自己的な(寄生的な)RNAとの競争力を獲得していく。この研究によって、細胞様の装置内、かつ寄生的な複製の存在下で、複製系がダーウィン進化を通じて発達しうることに関する実験的証拠が初めて示された。

 

印象的な図

Fig2.c 複製量の時間変化

 

雑記

めちゃめちゃ頑張って3回生実習の授業内容と資料作ったら、実習に感銘を受けて初めて生物の勉強に興味持ったって子がラボに来た。これが教育の良さか、と新たな刺激を受けて教員も悪かねぇと思っていたところに、親から大学教員の給料の少なさを説く新聞記事が届いた