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定量的リン酸化プロテオミクスを組み合わせる統合ネットワーク解析によって、膠芽腫の幹細胞特性の新しい制御因子としての形質転換増殖因子β受容体2を解明する

Yuta Narushima;..;Masaaki Oyama(2015.12, mollecular & cellular proteomics)[Integrative Network Analysis Combined with Quantitative Phosphoproteomics Reveals Transforming Growth Factor-beta Receptor type-2 (TGFBR2) as a Novel Regulator of Glioblastoma Stem Cell Properties]

 

理由

実験医学数理モデル特集の第4章6. 「リン酸化プロテオミクスに基づく数理ネットワーク解析」の参考文献1

 

概要

膠芽腫は予後の悪い悪性脳腫瘍の一つであり、発生と悪化は膠芽腫幹細胞によって駆動されることが知られている。膠芽腫幹細胞は、血清を含む培地における培養中にそれらのガン幹細胞特性を失うが、幹細胞様の特性の反応に関係するシグナルの変化を制御する分子メカニズムについてはほとんど知られていない。全体的なリン酸化関係シグナル事象を解明するために、患者の腫瘍組織から構築した膠芽腫幹細胞における血清誘導ダイナミクスのSILACに基づく定量的リン酸化プロテオミクス解析を行った。我々の解析において同定された1584のタンパク質における2876のリン酸化箇所の総数の中で、419タンパク質における732リン酸化箇所は幹細胞様の特性の変化を介して制御されていた。定量的リン酸化データに基づく統合的計算機解析によって、血清誘導性リン酸化制御に関連する主要な上流制御因子として形質転換増殖因子β受容体2(TGFBR2)に加えて、RhoファミリーGTPaseと中間系フィラメントのような細胞骨格再構成に関連するタンパク質に関するリン酸化レベルの相対変化が解明された。幹細胞様特性がある形質転換増殖因子β受容体2の機能的関連は、関連阻害剤を用いたシグナル摂動を介して実験的に実証された。これにより、形質転換増殖因子β受容体2は膠芽腫幹細胞制御における新しい細胞運命決定因子として重要な役割を果たすことが示唆された。

 

印象的な図

Fig5. IPAによる制御プロテオミクスのネットワーク解析

 

雑記

ちょっと油断して集中しすぎるとすぐ目が痙攣する