これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

ライブイメージングに基づくモデル選択により、脊椎軸発生における確率的なG1/S期遷移が周期的に制御されることが解明された。

Mayu Sugiyama ;..;Tadahiro Iimura(2014.12, PLos Comp Biol)[Live Imaging-Based Model Selection Reveals Periodic Regulation of the Stochastic G1/S Phase Transition in Vertebrate Axial Development]

 

理由

実験医学数理モデル特集の第4章7. 「魚類個体発生で観察される周期的な細胞周期進行波」の参考文献

 

概要

多細胞生物の発生において、細胞集団が同じ環境条件下に置かれていても、確率的な細胞応答が観察される。不均一な細胞のふるまいに隠された時空間制御モードを発見することは、難しい問題である。蛍光細胞周期指標であるFucci技術の利点を考慮して、ゼブラフィッシュの発生における細胞周期進行の隠された制御モードを解明することを目的とした。ゼブラフィッシュ系統に遺伝的に発現しているFucciであるCecylの蛍光ライブイメージングによって、胚の中胚葉の後端由来の新しく形成された脊索細胞が、脊索発生において赤色(G1)の蛍光シグナルを示すことが分かった。空胞形成より先に、これらの細胞は、G1/S遷移を示す赤から緑の蛍光色遷移を示した。このG1/S遷移は同調的には起こらず、確率過程を示す。なぜなら、赤と緑の細胞を混ぜた集団は常に新しく形成された赤色(G1)の脊索細胞と空胞形成をする緑の細胞の間に挿入されるためである。この脊索細胞の混ざった集団を、g1/S遷移の窓と名付けた。最初に、ライブイメージングデータの定量解析とG1/S遷移の確率の数値的推定を行った。これにより、G1/S遷移の窓の後端への進行制御波の存在が示された。この制御モードをより理解するために、数理モデルを構築し、実験データとモデルから得られた結果を比較するモデル選択を行った。解析によって、脊索における確率的なG1/S遷移の窓は、隣接する近軸の中胚葉分割の二倍周期で、周期的に進行することが示された。この方法は、病態生理学的な組織の成長モードの特徴の解釈を行うだろう。

 

雑記

世の中の 色んな所に 進行波