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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

細胞性粘菌の各自の選択的な細胞移動のモデル

Eirikur Palsson and Hans G. Othmer(200.7, PNAS)[A model for individual and collective cell movement in Dictyostelium discoideum]

 

理由

「理論生物学」第4章4-2「多細胞体形態形成のための細胞モデル」の参考文献

 

概要

細胞間シグナリングやシグナル伝達、パターン形成、細胞の移動性、そして組織のような細胞集合の移動などの発生の多様な基本過程の研究において、細胞性粘菌は広く用いられている。個々の細胞のふるまいが粘菌内で観察される細胞の選択的な動きをどのように生み出すかなど、細胞移動の多くの面はほとんど理解されていない。ここでは、移動性の粘菌細胞の生物学的に現実的なモデルが、表面分子を介して相互作用する作用力を生み出し、化学走性シグナルを検出して応答できることを示す。変形できる粘弾性の楕円として細胞をモデル化し、以前に作られたモデルを用いてシグナル伝達と細胞間シグナリングを組み込んだ。形の拘束によって、許容できる変形が制限されるが、相互作用している大量の細胞のシミュレーションが可能になる。モデルは既知の過程に基づいているため、パラメーターは実験的に測定もしくは推定できる。単細胞の化学走性的なふるまい9や集合中の流れ、そしてペースメーカーの小さなグループによって駆動される集合体の選択的な移動における観察を、このモデルが再現できることを示す。このモデルから、2次元の粘菌の移動が個々の細胞によって示される同じふるまいから生まれることが予測された。これは異なるメカニズムやふるまいを呼び出す必要がない。この計算機実験から、以前に特徴化されなかったが実験的に観察可能な現象も示唆された。

 

印象的な図

Fig3. cAMPのシグナルに応答する粘菌細胞の集合のスナップショット

 

雑記

ピクミンは急な予定変更に弱い