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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

真核生物の多細胞性の進化における不完全な脱離と細胞質間橋

Agathe Chaigne and Thibaut Brunet(2022.4, Current Biology)[Incomplete abscission and cytoplasmic bridges in the evolution of eukaryotic multicellularity]

 

理由

ラボSlackに流れてきた・・・気がする

 

概要

細胞分裂の教科書的な観点は、脱離と呼ばれる過程で2つの娘細胞が最終的に分かれることで起こる。しかしながらこの従来の考えとは対照的に、多細胞生物における多様な細胞種は細胞質間橋を通じて繋がっている。細胞質間橋は不完全な脱離もしくはより稀には原形質膜の局所的な融合によって形成する。この総説では、真核生物の生命の樹の中で細胞質間橋の分布と機能、形態を調査した。細胞質間橋は広く存在しており、5つの「複雑な多細胞」系統である動物界・菌界・陸上植物界・紅藻・褐藻を含むクローンの多細胞性を持つ真核生物のほとんどの全ての系統で祖先的に存在するようであることが分かった。動物界では、不完全な脱離の結果として生じる細胞質間橋は生殖細胞系列に偏在し、多能性細胞種で共通である。細胞質間橋は(接着タンパク質や細胞外マトリックスのような)多細胞生物の他の構造的調節因子より研究されていないが、おそらく最初に構造的な役割を行い、その後栄養の交換や細胞間コミュニケーションを可能にすることで、これらは真核生物のクローン的な多細胞性の重複した進化において重要な役割を果たすことが提案される。この細胞間コミュニケーションが遺伝子発現を平均化することで細胞間競争を緩和する。最終的に、間橋は空間的な細胞分化、組織内の細胞移動、そしてシグナルや代謝物の細胞内分布の他のメカニズムが共同する多くの動物組織で失われる。最後に、不完全な脱離の進化の分子基盤を議論し、単一もしくは複数の起源の代わりとなる仮説を検証する。

 

印象的な図

Figure3. 細胞質間橋の仮説的な機能

 

雑記

知らないことがまだまだあるなぁ