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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

急性炎症の動的な知見を表すエージェントベースのマルチスケールモジュール構造の紹介

Gary An(2008.5, Theoretical Biology and Medical Modelling)[Introduction of an agent-based multi-scale modular architecture for dynamic knowledge representation of acute inflammation]

 

理由

こないだ読んだ論文の参照文献

 

概要

背景

生物医学研究が直面する大きな課題の一つは、個々の研究者のためだけではなく集団のために十分に大量の情報を統合し、共有することである。エージェントベースモデル(ABM)は動的な知見を表す翻訳的な構造の統一を介して、この課題を解決する方法を与えうる。この論文では複数のレベルの生物組織を表す一連の結合ABMsを示す。これらの意図は、急性炎症の生体外モデルから得た知見を多臓器不全のような臨床的に関連ある現象に翻訳することである。

結果と議論

ABMの開発の順序は、生体外由来の法則から細胞エージェントとしたABMに相対的に直接翻訳することから始まる。これにより連結したABMが多組織モデルになり、最終的に組織間のクロストークをモデル化する幾何的に結合した集積多組織ABMsになる。根底にある設計原理として、臓器は上皮表面が機能的に構成されていると考えられている。この表面は組織の健全性と内皮と血液の界面を決定する。この界面は、炎症の開始と拡大の反応表面を表す。腸上皮透過性の生体外モデル由来の上皮ABMの開発を説明する。次に、上皮ABMを内皮/炎症性細胞ABMと連結して、腸の組織モデルを作成した。このモデルを虚血に対する炎症反応の生体内モデルで検証した。最後に、腸ABMを同様に構築された肺ABMと連結して、多臓器不全の病因における腸-肺軸を計算した。このモデルの振る舞いを、これら2つの組織系間のクロストークにおける生体内観察と臨床観察で検証した。

結論

一連のABMsは、細胞内メカニズムのレベルから集中治療状態で臨床的に観察されるふるまいへの拡張を示した。ABMsは、生体外実験から抽出した特定のメカニズムの知見を要約する細胞レベルのエージェントを十分に有効化する。ABMsの実行はこれらの実験由来のマルチスケールの概念モデルを動的に表す。これらのモデルは、コミュニティ全体の知識を連結、伝達、発展させるために使用できる概念的なモデル検証の手段として、急性炎症に関する基礎的な科学情報をマルチスケールのモジュール構造を統合する質的な方法を示す。

 

雑記

最近Ib実況見たから、"Gary"って名前の著者には優しいよ