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植物の葉の脈系の自己組織化:オーキシン流と運搬タンパク質の相互依存ダイナミクス

Feugier, FG;...;Iwasa, Y(2005.10)[Self-organization of the vascular system in plant leaves: Inter-dependent dynamics of auxin flux and carrier proteins]

 

理由

望月先生シリーズ7

 

概要

植物ホルモンのオーキシンは植物全体の脈組織形成に関与している。オーキシンを細胞から細胞へと輸送する、膜貫通型運搬タンパク質は組織内でオーキシンを極性的に輸送するため各細胞の周囲に非対称に分布し、将来の維管束と予測されるオーキシン流を作る。 canalization仮説によると、細胞のオーキシン輸送能力はオーキシン流によって増加すると考えられ、結果としてオーキシン路に沿ったこの流れが自己拡大する。この研究では、オーキシン流形成と運搬タンパク質ダイナミクスを考慮した異なる仮定下で運搬タンパク質を用いてcanalization仮説に基づいた一連のモデルを評価した。単一のオーキシン産生をする六角格子上でシミュレーションを行った。格子の縁に存在する一つの細胞は葉柄を示し、オーキシンだまりとして機能する。主な結果は以下の通りである。(1)オーキシン分布パターンの分岐を得た。(2)細胞の異なる部分のオーキシン流の強さに反応する運搬タンパク質制御の機能的な形によって記述される自己拡大のタイプは分岐パターンの生成の可能性に強い影響を持つ。オーキシン流と比較した運搬タンパク質数の増加において加速を伴う応答関数では、分岐パターンができやすい。線形や減速する応答関数では分岐パターンが形成されない。(3)分岐パターンが形成されると、異なる細胞部分で運搬タンパク質数がそれぞれ制御されている場合と、異なる細胞部分で限られた数の運搬タンパク質を取り合っている場合とで、オーキシン分布はかなり異なる。前者ではオーキシンが周囲の組織より脈で少なくなるが、後者ではオーキシンが脈でかなり多量に存在する。これらの結果より、canalizationは植物脈パタン形成の記述の良い候補であることが示唆される。

 

印象的な図

FIG3. 脈パターンのシミュレーション

 

雑記

子供のころからの浪漫、エジプトに行きたい