これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

細胞内カルシウムシグナルの空間的、時間的側面

Thomas, AP;...;Putney, JW(1996.11)[Spatial and temporal aspects of cellular calcium signaling]

 

理由

修論発表を聞いて生物学の"振動現象"が気になってきたので

 

概要

細胞基質のCa2+シグナルは持続型刺激条件下でさえもしばしば複雑な時空間パターンを構築する。この総説では、非興奮系細胞のこのふるまいのメカニズムや生理学的意義を議論する、この細胞というのはCa2+流通の主なメカニズムが(1,4,5)IP3依存的な細胞内貯蔵からのCa2+放出を通したものである。細胞質の遊離Ca2+([Ca2+](i))の振動は時間的構成の一般的な形である。つまり、空間領域において、これらの[Ca2+](i)振動は細胞間で広がる[Ca2+](i)の波の形をとるかもしれないし、または特定の細胞内領域に限定されるかもしれない。これらのCa2+シグナリングのパターンは細胞質Ca2+拡散の範囲が限られていることと、Ca2+流通に関与する経路の正のフィードバックによるものである。さらに、[Ca2+](i)の空間構成の変化は細胞内のCa2+貯蔵の戦略的な分布に依存的なようである。[Ca2+](i)振動の1種は基準値の活動電位であり、そこでは離散的な[Ca2+]電位が頻繫するが、増幅はしない、つまり作用物質の量に依存する。最近の証拠はほとんど(1,4,5)IP3感受性の細胞内Ca2+チャネルの開閉の制御における[Ca2+](i)と(1,4,5)IP3間の複雑な相互作用によって基準の[Ca2+](i)電位ができるというもでるである。正弦的な[Ca2+](i)振動は機構的に異なるタイプの時間的構成をしめす。ここでは、作用物質の量が振幅を制御するが振動周波数には影響しない。正弦的な[Ca2+](i)振動はホスホリパーゼCやその活性型Gタンパク質の量での(1,4,5)IP3の産生におけるタンパク質リン酸化酵素Cの負のフィードバックの効果で説明できるだろう。無傷組織における振動現象の観察と頻度調節的な振動[Ca2+](i)シグナルに対する順応のCa2+-依存的な過程の認識によって、[Ca2+](i)振動と波の生理学的意義はさらに理解される。いくつかの細胞では、これらの[Ca2+](i)シグナルは限定的な細胞質ドメインにおいて過程を制御するように向けられており、他の系では[Ca2+](i)波は多細胞系の機能を調和するギャップ結合を介して広がることができる。

 

雑記

[--の時空間パターン]というタイトルに惹かれて卒研発表聞きに行ったのに、時間パターンしか見られてなかったので怒りのあまり質問しそうになった(来年度お世話になる研究室だからとりあえず我慢した)