これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

細胞内情報伝達における追加ノイズに対する頑健性

Takehiro Tottori;...;Shinya Kuroda(2019.10, PHYSICAL REVIEW E)[Robustness against additional noise in cellular information transmission]

 

理由

私が初めて手に取った理論系の生物分野の研究室が、黒田研だったな、と思い出したので

 

概要

細胞内反応(内部ノイズ)における変動は、細胞外入力から細胞内反応への情報伝達を減少させる。しかしながら、最近の研究によって、細胞外入力変動(細胞外ノイズ)に関する伝達情報の減少は細胞内ノイズが大きいときに小さくなる。したがって、細胞外ノイズに対する頑健性が細胞内ノイズの強さと共に増加することが示された。我々は、この現象を細胞内ノイズ誘導的な頑健性(INIR)と呼ぶ。この現象に関する過去の研究は複雑な生化学反応に注目しているので、INIRと系の入力-出力との関係は不明である。さらに、INIRのメカニズムは分かりにくいままである。この論文では、単一のモデルを解析することでこれらの疑問を解決する。最初に、入出力関係が線形であるモデルを最初に解析する。細胞外ノイズに対する頑健性が細胞内ノイズを増加させることを示し、INIR現象を確認した。さらに、入力ノイズの変化が入力分布の変位より大きいときに、細胞外ノイズに対する頑健性は、入力ノイズにさらに強く依存する。次に、入力が閾値を超えるかどうかによって出力が決定されるような閾値モデルを解析する。閾値が入力の平均と等しくなる時にINIRが実現されるが、閾値が平均より大きくなると閾値モデルが確率共鳴が現れ、INIRは常には現れなかった。線形モデルと確率共鳴なしの閾値モデルにおいて、細胞外ノイズに対する頑健性と伝達情報は互いにトレードオフでありるが、それらは確率共鳴のない閾値モデルにおいて同時に増加した。

 

雑記

東大のオープンキャンパスでただ一ヶ所ガツガツせずに研究室紹介の紙が置いてあった黒田研、あの紙何となく捨てられずにもう10年くらい机の中にしまってるなぁ