ストレス顆粒集積の時空間動態とメカニズム
Daisuke Ohshima;...;Kazuhisa Ichikawa(2015.6, PLOS Computational Biology)[Spatio-temporal Dynamics and Mechanisms of Stress Granule Assembly]
理由
実験医学数理モデル特集の第4章2. 「NF-κBの4D細胞シミュレーション」の参考文献1
概要
ストレス顆粒(SGs)はmRNAと関連タンパク質の非膜状の細胞質集合体であり、熱刺激や低酸素症、小胞体(ER)ストレス、亜ヒ酸塩のような化学刺激、ウイルス感染のような環境ストレスに反応して集積する。SGsはmRNAのプールに対して適切なmRNAの翻訳量を割り当てたり維持する場所であると仮定されている。脳虚血においては、虚血に強い海馬CA3ニューロンがSGsを集積する。一方で、虚血に脆弱なCA1ニューロンはSGsを集積しない。これらの結果から、細胞運命決定に関してSGsが重要な役割を果たすことが示唆された。よって、SG集積とそれに伴う動態は細胞運命を決定するに違いない。しかしながら、SG集積動態を正確に決定する過程はほとんど知られていない。この論文では、実験データの解析と計算機シミュレーションを用いてこの問題に対処する。SGsはHeLa細胞への亜ヒ酸塩処置の結果として集積する。SGsの数は短い潜在的な期間の後、最大に達しその後亜ヒ酸塩処置中に減少する。同時に、SGsの大きさも徐々に大きくなり、核周辺領域に局在化するようになる。最小数理モデルを構築し、モデリングを調べるため確率シミュレーションを行った。細胞の中には数十個のSGsしかないため、SGsは離れて存在するので、一般的に決定論シミュレーションは用いることが出来ない。この確率シミュレーションはSG集積の動態の観察を再現した。加えて、これらの確率シミュレーションによって、SGの大きさに対するガンマ分布が予測された。この同じ分布は実験データでも見られたことから、SG集積において複数の融合段階があることが示唆された。さらに、SG集積過程の初期段階と微小管が動態に重要であることを発見した。よって、この実験と確率シミュレーションによって、SG集積を制御する潜在的なメカニズムが示された。
雑記
なんか実験医学の方で読んだ内容と全然違うけど、まぁおもしろかったしいいや