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線虫における温度感受性ニューロンAFDにコードされる空間温度勾配の再構成

Yuki Tsukada;...;Ikue Mori(2016.3, J Neurosci.)[Reconstruction of Spatial Thermal Gradient Encoded in Thermosensory Neuron AFD in Caenorhabditis elegans]

 

理由

実験医学数理モデル特集の第4章14. 「神経応答のモデリング」の参考文献3

 

概要

移動の間、動物は周囲の環境を評価するために一連の感覚のニューロン入力を処理する。線虫の温度走性は、移動する動物が環境からどのようにして感覚シグナルを処理するかを解明するのに良い感覚行動である。温度感覚ニューロン左右対称のペアによる温度情報の感覚と保存、AFDは、温度勾配の記憶した温度に向かって移動するために必須である。しかしながら、移動中の時間的なAFD活性を伴う空間的環境の指定メカニズムは解明されていない。ここでは、空間的な温度環境を感受するために、AFDニューロンが一連の感覚ニューロンをどのように指定するかを示す。自由に移動する動物を同時にカルシウムイメージングして追跡し、温度走性の間の温度刺激に対するAFDの反応特性を特徴化した。AFDニューロンはわずかな温度上昇に断続的なカルシウムパルスで反応し、20sの臨界時間で温度の差異を検出した。これは方向転換のような線虫の行動湯祖の時間スケールに類似している。温度刺激の畳み込みと同定された反応特性は、AFD活性をうまく再構成した。逆に、同定された反応カーネルとAFD活性の非畳み込みは移動軌跡のあるわずかな温度勾配を再構成する。このことから、AFD活性と移動の軌跡は、温度環境の指定シグナルとして十分であることが示唆される。本研究によって、環境温度情報と指定される神経活性の間の双方向の情報伝達が示された。

 

意義

情報がどのように神経系に指定されるかを解読することは、神経回路における情報処理の原理を理解するために重要な課題である。移動行動において、動物は空間情報を神経活性の時間パターンに変換する。感覚神経がこの変換をどのように可能にしているかを解明するために、AFDと呼ばれる線虫の温度感受性ニューロンに注目した。これは感覚行動に重要な役割を果たしている。自由に移動する動物の追跡とカルシウムイメージングを用いて、AFDの反応特性を同定した。同定された反応特性によって、温度刺激からの神経活性と神経活性からの空間的な温度環境を両方再構成できた。これらの結果によって、感覚系が環境をどのように指定するかが解明された。

 

雑記

二段落目が良くまとまりすぎていて、一段落目読んだことを後悔するレベル