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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

神経回路モデルを用いて、スパイクタイミング依存シナプス可塑性による網膜視蓋系における方向選択性の発達機構を解析する

Minoru Honda,;....;Shinya Kuroda(2011.1, J Neurosci.)[Analysis of Development of Direction Selectivity in Retinotectum by a Neural Circuit Model with Spike Timing-Dependent Plasticity]

 

理由

「理論生物学」第3章3-4「視覚学習を構成論的に理解する」の参考文献

 

概要

視覚系における方向感受性の発達は視覚経験に依存する。カエルの網膜視蓋系の発生において、網膜に特定の方向の動く棒が繰り返し晒された後、スパイクタイミング依存的な可塑性(STDP)を介して視蓋ニューロン(TNs)が方向感受的になる。STDPのある神経回路モデルを用いて変えるの網膜視蓋系における方向感受性の発達の原因となるメカニズムを調べる。この網膜視蓋回路モデルにおいて、動く棒は網膜神経節細胞を刺激し、これはTNsと介在ニューロン(INs)にフィードフォワード的興奮を与える。INsはTNsに対して遅れのあるフィードフォワード抑制を与える。TNsは隣のTNsからもフィードバック興奮も受けとる。シナプス学習則により、分子STDPモデルはRGCsとTNsの間のシナプスで用いられる。この網膜視蓋系回路モデルは、TNに対する入力の増加のような方向感受性の発生に関する実験的に観察された特徴を再現した。RGCsからTNsへの興奮のフィードフォワードのピークはSTDPの結果よりも早かった。遅れのあるフィードフォワード抑制があると、より強くかつ早い遷移のフィードフォワードシグナルが生成され、これは隣のTNsからのフィードバック興奮の閾値を超えているため、TNsへの入力の増幅に繋がる。遅れのあるフィードフォワード抑制を抑えると、方向感受性よりも配向感受性の発達が起こることから、方向感受性における遅れのあるフィードフォワード抑制の重要な役割が示唆された。ここでは、STDPのある遅れフィードフォワード抑制とフィードバック興奮の増幅が関与する方向感受性の発達のメカニズムを提案する。

 

印象的な図

Figure 8. 遅れフィードフォワード抑制が方向感受性と配向感受性を調節する

雑記

神経系の輪読会に参加していたころが、私にもありました