これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

マクロピノサイトーシス杯の3次元動的形態シミュレーション

Nen Saito & Satoshi Sawai(2021.10, iScience)[Three-dimensional morphodynamic simulations of macropinocytic cups]

 

理由

昨日の論文について調べてたら見つけた

 

概要

マクロピノサイトーシスとは細胞外の液体の非特異的な取り込みを差し、細胞成長や免疫監視そしてウイルス侵入において広い役割を果たす。その幅広い出現にも関わらず、初期の杯のような形の細胞膜突出が、食作用中の粒子の取り込み過程と反対に、外部の固体の支持なくどのように形成されるのかは不明である。ここでは、活発なシグナル点の双安定反応拡散過程と膜変形の組み合わせを記述する計算フレームワークを開発して、他の局所的な曲げや収縮を仮定することなく、点の端に向けて局在化した突出力が自己組織的に閉じる杯構造を与えうることを示した。効率的な取り組みには、点のサイズや突出力の大きさ、皮質張力の間のバランスが必要である。さらにモデルは環状杯の形成、複数の杯の共存、そして杯の分裂を示した。このことから、これらの複雑な形態は反応拡散と膜変形の共通の相互依存的な過程を通じて自己組織化することが示唆された。

 

印象的な図

Figure 2. 活発な点の端での膜突出が基本的な杯様構造とその閉塞の形成に充分である。

 

雑記

すっっっげ面白いじゃんこの論文。反応拡散でこんなこともできたのか。やっぱり3次元を考えなければ。

プレスリリースも置いておく。

www.u-tokyo.ac.jp