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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

マクロファージ活性化経路における複数の安定性と代謝への影響

Geiß C;...;Mora-Rodríguez RA.(2022.1, Cells) [Multistability in Macrophage Activation Pathways and Metabolic Implications.]

 

理由

ふと見つけた

 

概要

マクロファージは従来の炎症性(M1)と新規の抗炎症性(M2)状態を含む反対の幅広い活性状態をもつ自然免疫細胞である。マクロファージがどのように一つの状態と別の状態との遷移を制御するのかを解読することは、炎症性疾患とその関連の治療をより深く理解する鍵である。正のフィードバックや複数の負のフィードバックループのように、マクロファージ遷移に報告されている共通の制御モチーフはスイッチ様のふるまいを示すことから、系の双安定性が示唆されている。この総説では、4つの分子レベルでマクロファージの活性化経路における(双安定性も含めた)複数の安定性の証拠を探索する。

1つ目に、シグナル伝達における意思決定モジュールは、M1 (STAT1, NF-KB/p50-p65)とM2 (STAT3, NF-KB/p50-p50)シグナル経路の相互抑制を含む。2つ目に、遺伝子発現レベルでのスイッチ様のふるまいは転写因子とmiRNAsの複雑なネットワークモチーフを含む。3つ目に、これらの変化は代謝の遺伝子発現に影響し、エネルギー産生、NADPHとROS産生、TCAサイクル機能、生合成、そして窒素代謝を切り替える。4つ目に、代謝の変化はAMPKとmTOR活性を共役した代謝センサーによって監視され、M1やM2活性を促進するシグナルを維持することで安定性を与える。まとめると、代謝環境の調整を通じてマクロファージの遷移を反対にしたり阻害する有望な治療標的としての双安定的なハブを発見した。

 

印象的な図

Figure 1. マクロファージの活性化における複数の双安定性とヒステリシスの概念

 

雑記

Fig1(A)の概念図が好き。