これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

抗菌ペプチドLL-37はNLRP3依存的な方法で酒さ様皮膚炎を駆動する

Yoon SH;...;Yu JW.(2021.12, J Invest Dermatol.)[Antimicrobial Peptide LL-37 Drives Rosacea-Like Skin Inflammation in an NLRP3-Dependent Manner.]

 

理由

博論発表の参考資料

 

概要

酒さは、免疫反応依存的な紅斑と膿疱が特徴の慢性炎症性皮膚疾患である。酒さの正確な病因は分かりにくいものであるが、その病態形成は抗菌ペプチドLL-37の増加を関連があると繰り返し報告されいている。しかしながら、LL-37を介した酒さの病態形成の根底にある分子メカニズムはほとんど理解されていない。ここでは、酒さ様皮膚炎の表現型におけるLL-37の潜在的な役割を分子レベルで調べた。この生体外データから、LL-37はLPS刺激したマクロファージにおいて、NLRP3調節性のインフラマソーム活性を促進し、カスパーゼ1とIL-1βの処理を示した。LL-37はP2X7受容体調節性エンドサイトーシスを介してマクロファージの細胞質へ移行した。細胞内のLL-37はリソソームの不安定化を促進し、NLRP3-ASCインフラマソーム複合体の集合と活性化を引き起こす。これらの生体外結果と一致するように、真皮内へLL-37を投与するとNlrp3発現マウスの皮膚では生体内でカスパーゼ1活性化とASCスペック形成が誘導されたが、Nlrp3欠損マウスでは誘導されなかった。LL-37の真皮内注射は炎症性Gr1+細胞の集積とその後の皮膚炎症を誘発した。しかしながらLL-37誘導性の酒さ様皮膚炎症はNlrp3欠損マウスで有意になくなった。さらにNLRP3特異的阻害剤MCC950は、LL-37誘発性酒さ様表現型を大きく減少させた。これらを合わせると、本研究からNLRP3インフラマソームはLL-37誘導性皮膚炎症と酒さ表現型に重要な役割を果たすことが明確に示された。

 

印象的な図

Graphical abstract

 

雑記

久しぶりに生物学の大きな問題について真剣に考えて、いい気分転換になった