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質量保存型反応拡散系は細胞極性の特徴を捉える

Otsuji, Mikiya;...;Kuroda, Shinya(2007.6)[A mass conserved reaction-diffusion system captures properties of cell polarity]

 

理由

望月先生シリーズ9

 

概要

細胞極性は移動する好中球やタマホコリカビ類のように様々な細胞種に見られる一般的な細胞過程である。 Rho small GTP( guanosine 5'-tri phosphate)ase は細胞極性を制御すると考えられてきたが、その出現のメカニズムはまだ明らかではない。最初に、 Rho GTPasesの反応拡散モデルを作成した。これは、シグナルが最大または最小の時に細胞外シグナルの勾配がそれぞれ排他的な Cdc42とRacまたは RhoAの蓄積のようにスイッチ的な可逆性反応を示し、極性的なピークによるシグナル勾配の変化を追った。 SubramanianとNarangが提唱した以前の細胞極性モデルは分子ネットワークが異なるにも関わらず、我々のRho GTPaseモデルのふるまいに似ている。このことにより、これらのモデルを比較し、不安定性と要素の質量保存性を共通的に持つことを見つけた。この共通特性に基づいて、拡散依存的な不安定性を持ち、質量保存的な反応拡散系の概念モデルを作成した。これらのモデルはRho GTPaseモデルにおける細胞極性と同じふるまいを保持していた。これらのモデルを用いて、複数の極性ピークは不安定であり、その結果単一の安定なピークができること、そして単一の勾配の変化に向けた過敏性は特に極性ピークで制限されていることを数値的、解析的に発見した。分子ネットワークは細胞種ごとに異なるかもしれないが、移動する細胞の細胞極性のふるまいは同じに見えることから、基本的な原理があると考えられる。よって、拡散依存的な不安定性を持ち、質量保存的な反応拡散系はこのような細胞極性の原理の一つであることを提案する。

 

雑記

反応拡散ってすごい(KONAMI)