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微小管に基づく方向的なROP分布制限を介した頑健な縞模様の原生木部

Bas Jacobs;...;Eva E.Deinum(2020.10, Journal of Theoretical Biology)[Robust banded protoxylem pattern formation through microtubule-based directional ROP diffusion restriction]

 

理由

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概要

植物の維管束組織発生において、異なる細胞壁パターンは異なる成長段階に最適化された異なる物理的特性を要求しながら形成される。これらのパターニング過程において重要なのは植物のRho(ROP)タンパク質であり、これは進化的に保存されている小さなGTPaseタンパク質であり、多くの生物において局所膜ドメイン形成を担っている。teスポット型の後生木部パターンはチューリングタイプの反応拡散メカニズムの結果として簡単に理解された一方で、原生木部で見られるような等しく並んだ縞や螺旋の一定の方向性がどのように作られるかという問題はまだ解かれていない。この方向性が、方向的な拡散のバリアとして働くような垂直に配向した細胞質表層微小管の配列とROPsとの相互作用の結果から生まれるという仮説を立てた。ここでは、異方的なROP拡散のある偏微分方程式を用いてこの仮説を調べ、活性ROPに対する垂直拡散バリアとして働く水平な微小管配列が、水平な縞のROPパターンを達成させることを示す。次に、その根底にあるメカニズムを詳細に調べ、曲線パターンだけを配向できるが、直線は配向できないことが分かった。このことから、一度形成されたら、縞や螺旋のパターンはこのメカニズムでは再配向できないことが示された。最後に、この相互作用が生物学的な現実に十分実装されるとき、ROPsと微小管は最終的に静的なパターンしか形成しないことを観察した。

 

印象的な図

Fig. 8. 微小管密度のポジティブフィードバックは垂直な縞の移動を阻害できる

 

雑記

反応拡散でまだ色々面白い研究があるものだなぁ