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共通のアンジオテンシン受容体阻害剤はVDR,PPAR,そしてCCR2bを介して免疫系を直接調整する可能性がある

Trevor G Marshall;...;Frances E Marshall (2006.1, BMC Theoretical Biology and Medical Modelling)[Common angiotensin receptor blockers may directly modulate the immune system via VDR, PPAR and CCR2b]

 

理由

BMCのTheoretical Biology and Medical Modellingの中で、最もアクセスされてる論文シリーズ。最後。

 

概要

背景

共通のアンジオテンシン受容体阻害剤(ARBs)は、免疫系を直接調整することで抗炎症活性を行使する可能性があることが示唆されている。分子モデリングを用いて、可能性のある標的のうちどれが詳細な実験的検証の費用を正当化するかを急速に評価する。最初にVDR核受容体を調べた。これは、セコステロイドホルモン1,25-ジヒドロキシビタミンDによって活性化される。この受容体はGnRH(ゴナドトロピンホルモン放出ホルモン)と副甲状腺ホルモン(PTH)と同様に遍在する制御因子の発現を調節する。さらに、ペルオキシソーム増殖活性型受容体ガンマ(PPARgamma)を調べた。これは、食細胞の機能や、C-Cケモカイン受容体、タイプ2型(CCR2b)に影響を与える。これは炎症性免疫症状の場所に単球を招集する。

結果

テルミサルタンはVDRに強く拮抗すると予想された。ARBsオルメサルタン、イルベサルタンそしてバルサルタンは、典型的な生体内濃度で有効なVDRアンタゴニストである可能性がある。カンデサルタンとロサルタンもVDRを有効に阻害する可能性がある。テルミサルタンはPPARgammaの強い変調器である一方で、ロサルタンやイルベサルタン、オルメサルタンとバルサルタンも有意なPPAR調整活性を持つと思われる。さらに、オルメサルタンとイルベサルタンはCCR2bの理論モデルのアンタゴニストとして機能する。このCCR2bモデルの初期の検証を行い、アンジオテンシンⅡタイプ1受容体(AT2R1)の提案されたモデルを示す。

結論

分子モデリングは、受容体/リガンド結合に関する検証可能な仮説を作成する価値があることを示し、薬剤設計における重要な道具である。ARBsはAT2R1のアンタゴニストとして機能するように設計され、構造的に類似したCCR2bへのアフィニティを発見することは驚くべきことではない。しかしながら、この研究はARBsは2つの重要な核受容体VDRとPPARgammaを調節するという証拠も発見した。このシミュレーションが実験によって確認されれば、ARBsは抗炎症性薬剤として、さらに心血管薬としての現在の効能としても有効になる可能性がある。

 

雑記

2020年って、2000年生まれが成人する年なんだな。。。