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トウモロコシの花における心皮発生を抑制する祖先的な分岐プログラムの採用

Harry Klein;..;Madelaine Bartlett(2022.1, PNAS)[Recruitment of an ancient branching program to suppress carpel development in maize flowers]

 

理由

ラボSlackに流れてきた

 

概要

トウモロコシの心皮は、穂に付く花の半分と全ての花でプログラム細胞死を起こす。 HD-ZIP I 転写因子遺伝子GRASSY TILLERS1 (GT1)は、この過程を制御することが知られている数少ない遺伝子の一つである。心皮抑制の追加因子を同定するために、gt1エンハンサースクリーンを行い、gt1とramosa3(ra3)との間の遺伝的な相互作用を発見した。RA3はトレハロース-6-リン塩(TP6)脱リン酸化酵素(TPP)を指定する典型的な花序形成を決定する遺伝子である。花発生の解剖から、ra3シングル変異体は部分的に心皮を活性化した一方で、gt1;ra3ダブル変異体は完全に心皮を活性化した。驚くべきことに、gt1はra3花序分岐を抑制し、原基決定におけるgt1の役割が解明された。これらの遺伝子相互作用を支持することに、GT1とRA3タンパク質は発生中の花において心皮の核に共局在する。全体的な発現プロファイリングから、シングル変異体やダブル変異体の花と同様にgt1を活性化した腋生の原基でも、共通の遺伝子は機能しなくなっていることが分かった。実際に、トレハロース経路や真正双子葉類におけるGT1ホモログの役割と同様に、ra3はgt1栄養分岐を促進することが見つかった。この機能が16億年以上進化で保存されていることから、腋生の原基抑制におけるGT-1様遺伝子とトレハロース経路の祖先的な役割が明らかになる。この機能は後に心皮抑制を調節するため採用された。この発見から、典型的なトウモロコシの遺伝子の隠された多面発現が暴かれ、祖先的な発生プログラムが花の形態を創りだすためにどのように用いられているかを示す。

 

雑記

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