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胚中心におけるB細胞の動態

Nilushi S. De Silva and Ulf Klein(2015.2, Nature Reviews Immunology)[Dynamics of B cells in germinal centres]

 

理由

博論の参考文献

 

概要

重要な点

・リンパ器官の胚中心(GC)は、抗原によって活性化されたB細胞が体細胞超変異(SHM)による免疫グロブリン遺伝子を多様化して高親和性抗体を生み出す環境である。

・この細胞のサブセットもクラススイッチ組み換えを行って特殊化したエフェクター機能を持つ抗体を生み出す。免疫応答の初期において、抗原によって刺激されたB細胞はB細胞領域とT細胞領域との境界や濾胞間領域で、抗原特異的なT細胞との長期間の相互作用を形成し、充分な活性化状態になる。抗原によって活性化したB細胞とT細胞は、濾胞外でそれぞれ胚中心B細胞と濾胞性ヘルパーT細胞(TFH細胞)への分化に尽力する。濾胞への移動はB細胞性リンパ腫6(BCL-6)によって促進される。BCL-6は胚中心B細胞の主要な転写制御因子である。

・TFH細胞が濾胞に移動してから1日後、GC前駆B細胞はB細胞領域とT細胞領域間の境界や濾胞間領域から濾胞の中心へと移動して初期の胚中心を形成する。さらに数日後B細胞は芽球へ分化し、暗領域と明領域として知られる2つの微小環境へ局在化する成熟したGCを形成するまで、急速に分裂して濾胞の中心を埋め始める。

・暗領域のB細胞は、能動的な体細胞超変異を行う胚中心B細胞であり、非常に急速に増殖するように設計されている。それにより、短時間で大量の免疫グロブリン遺伝子変異を生み出す。高親和性抗体を発現する変異が選ばれ、さらなる体細胞超変異の周回を行う暗領域へ再循環するか、もしくは記憶性B細胞やプラズマ細胞へ分化するかのどちらかの段階になると、暗領域のB細胞は明領域のB細胞に分化する。

・明領域のB細胞は、B細胞受容体(BCR)を介して抗原を捕まえ、MHC複合体上に処理した抗原をTFH細胞へと提示する。より高いBCR結合性はより多くの抗原を捕まえることと直接関連し、B細胞表面にペプチド-MHC複合体提示の密度を高くする。その結果、T細胞の助けを借りる割合が最も多くなり、これにより選択を駆動する。

・これらの証拠から、「ライセンス化された」抗原選択的な明領域B細胞は暗領域に再循環するため、転写因子MYCとNF-κBサブユニットRELはGC反応の維持に必須であることが示唆される。胚中心B細胞の最終分化の阻害は、転写制御と非転写制御の両方を含む複数のメカニズムによって調節される。

 

概要

液性免疫は、体細胞的に変異した高結合性記憶性B細胞とプラズマ細胞が生成されるまでは、胚中心(GC)反応に依存している。最近の研究から、GCの形成と維持、そして高結合性の抗体変異体の選択に必要な重要なヒントが明らかになった。さらに、これらの事象はGC内外での細胞の大きな移動によって促進されることが明らかになった。これらの発見から、これまでよりさらに詳細なGC反応の複雑性が解明された。この総説では、これらの最近の進歩に注目し、液性免疫の確立の解釈を議論する。

 

雑記

液性免疫はあんまり興味なくて調べてなかったから、知らないことばっかりだ