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変形性関節症軟骨におけるサイトカイン、MMPs、フィブロネクチン断片の数理モデリング

Baker M, Brook BS, Owen MR. (2017.10, J Math Biol.)[Mathematical modelling of cytokines, MMPs and fibronectin fragments in osteoarthritic cartilage]

 

理由

博論の参考文献

 

概要

変形性関節症軟骨(OA)とは、関節に痛みとこわばりを生じる変性疾患である。OAは、関節軟骨の過剰な変性を通じて進行し、最終的に大きな関節変性と機能喪失を引き起こす。OA関節で濃度上昇を示す細胞シグナルタンパク質のグループであるサイトカインは、炎症性と抗炎症性のグループに分けられる。それらはコラーゲン分解酵素のグループであるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の制御を主に、いくつかのメカニズムを介して関節変性を調整する。この論文では、関節内でのサイトカインの相互作用がOAの進行と治療に重要な役割を果たすことを示す。炎症性と抗炎症性サイトカイン、MMPs、そして関節変性とサイトカイン増加の副産物であるフィブロネクチン断片(Fn-fs)間の相互作用の4変数常微分方程式モデルを構築した。このモデルは、恒常性、双安定な炎症、3つの安定な炎症、そして持続的な炎症の4クラスの振る舞いを持つことが示された。サイトカイン産生速度を制御する正と負のフィードバックが、OAの傾向かOAの開始かのどちらかを決定しうることが示された。さらに、サイトカイン、MMPs、そしてFn-fsの操作はOAの治療に使えることを示す。しかし、疾患の進行を止める、もしくは遅くするためには複数の治療標的が必要である可能性を示唆する。

 

印象的な図

Fig. 1 関節軟骨内におけるサイトカイン相互作用の単純化したネットワーク

 

雑記

最終発表日が決まりました。これが投稿される頃にはもう過ぎていますが。