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炎症の解消における空間的考慮:実験的に調整したエージェントベースモデルを介した白血球相互作用の解明

Bayani A;...; Nelson MR (2020.11, PLoS Comput Biol)[Spatial considerations in the resolution of inflammation: Elucidating leukocyte interactions via an experimentally-calibrated agent-based model.]

 

理由

自分の研究関連

 

概要

多くの一般的な病状(癌や関節痛、慢性閉塞性肺疾患COPDなど)は炎症と関連し、その関連は老化や複数の慢性疾患を有する状態の効果が組み合わさった場合にはより強くなる。炎症反応は細胞種によって異なるが、疾患や治療介入への反応下で、炎症反応には免疫細胞や炎症メディエーターとの間で起こる共有の相互作用がある。これらの根底にある炎症メカニズムの理解は、大量の炎症状態に対する治療の進歩の鍵である。現在、炎症反応の構成メカニズムは炎症損傷の解消を駆動するために能動的に操作されていると考えられている。特に、これらのメカニズムは好中球の炎症促進作用とマクロファージの炎症抑制作用に関連する。この論文では、ハイブリッド数理モデルの集合を記述する。ここでは、炎症メディエーターの空間的拡大を偏微分方程式を介して記述し、免疫細胞(好中球とマクロファージ)をエージェントベースモデリング方法を介してここに記述した。免疫細胞がどのように炎症メディエーターに向かって遊走するかに注意して、健康とCOPD影響下のシナリオにおける細胞の軌道を実験的に観察した結果で調整した細胞の遊走モデルを示す。重要なモデルパラメーターの変化がどのように炎症の終息から慢性的な結果へのスイッチを駆動するかを説明し、好中球遊走の異常が、好中球の化学走性異常は、健康な状態から慢性的な状態に移行させうることを示す。最後に、我々の結果を進行中の新しい治療介入の探索の文脈に反映する。

 

Author summary

炎症は、乾癬や毒素、組織過労のような有害な刺激に対する体の主な防御であるだけでなく、喘息や関節痛、癌を含むかなり幅広い症状の根底にある。炎症反応は、回復を促進して創傷を終息させるカギであり、炎症反応には免疫細胞(特に白血球、好中球、マクロファージ)と炎症メディエーターとの様々な相互作用を含む。免疫細胞は、創傷に反応して血流から集積する。組織に来ると、好中球は侵入者を殺して損傷を回復するために毒素を放出するが、他の免疫細胞(主にマクロファージ)によって注意深く管理されないと、この反応は創傷を回復させる代わりに炎症を増加させうる。ここでは、空間モデルを用いて創傷に対するこれらの相互作用をモデル化し、健康な反応がどのように局所的な炎症を拡大しないようにしているのかを調べる。多くの炎症症状が関連することから、細胞がどのように損傷領域に移動するかに特に注意した。健康な患者と慢性閉塞性肺疾患患者由来の実験的に観察された細胞軌道でモデルを調整した。健康な結果は、効果的な細胞移動と、好中球の炎症性とマクロファージの抗炎症性の効果の繊細なバランスに強く依存することを示す。

 

雑記

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