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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

魚の縞パターンの方向性の起源

Shoji, H; ...Kondo, S(2003.4)[Origin of directionality in the fish stripe pattern]

 

理由

近藤先生シリーズ10

 

概要

動物皮膚の縞パターンの形成はアランチューリングによって提唱された仮説的な化学反応である反応拡散(RD)系によって説明されてきた。動物の縞は大抵方向性をもっているが、RDモデルだけではどのようにして方向が決まるかは説明できない。縞の方向を制御するメカニズムを調べるために性変換の間に2種類のタテジマヤッコの縞パタン形成を研究した。これらの種は縞の方向以外はほとんど同一の形態特性を持っている。両種で、スポットは一過的にランダムな場所に生じ、その後結合して方向をもった縞に再構成される。計算機分析によって、拡散の異方性が、RD系によって形成される縞の方向性をかなり効率的に決めることが示された。モデルのシミュレーションは縞の結果と同様に魚で見られる方向的なパタン形成の一過的なダイナミクスを再現した。物質の拡散異方性の強さと方向が同一な場合、縞は方向性をもたない。しかしながら、これらが異なる場合、縞は方向性をもつ。この効果に必要な異方性の違いは小さいので、異方的な形態をもつほとんどの構造は縞の方向の明白な違いを起こす可能性がある。シミュレーションのスケールは皮膚の異方的な相互作用を生み出すと考えられる構造とほぼ同じである。

 

印象的な図

Fig5. パラメーター変化による縦縞、横縞の形成

Fig6. 縦横を決定するパラメーター空間

 

雑記

この研究はさすがと言うばかり。Discussionで異方性を生み出す構造の候補、コラーゲン繊維、血管、神経とかを述べていてうーむとうなる感じ(そらまぁ候補くらい書くとはおもうが)実験的に確かめられればいいなぁと思う気持ちと、全く違う、新しい仕組みが分かるといいなぁという思いで、ロマンあふれる。