ヌタウナギやヤツメウナギ(円口類)における脊椎動物の特徴の減少と脊椎動物の化石記録の解釈
Robert S. Sansom:...:Mark A. Purnell(2010.10, Proc. R. Soc. B.)[Decay of vertebrate characters in hagfish and lamprey (Cyclostomata) and the implications for the vertebrate fossil record]
理由
進化のセミナーで出てきて面白そうだったので
概要
脊椎動物の起源と初期進化の根底にある事象のタイミングと順序は、ほぼ理解されていない。古生物的証拠はこれらの問題に焦点を当てるに違いないが、バイオミネラル化していない化石記録の解釈が難しいため、この問題を困難にしている。ここでは、現存の無顎脊椎動物(ヤツメウナギと メクラウナギ)に基づく脊椎動物の特徴の減少を実験的に解析した。この解析から、やわらかい体の化石の脊椎動物や推定上の円口類の解剖学を解釈する枠組み、そしてバイオミネラル化された脊椎動物の特徴の化石記録を読み解く文脈が与えられる。減少は変形と特徴の非ランダムな喪失を起こした。ヌタウナギとヤツメウナギの両方で、異なる種類の軟骨は異なる速度で減少する。このことから、脊椎動物特有のCol2α1細胞外マトリックス蛋白質を含む「柔らかい」軟骨の消失に向けた化石傾向は偏っている、すなわち系統発生的に有益な柔らかい組織の特徴は、より原始的な特徴の前に衰退する。このように初期脊索動物でこれまで認識された、共有派生形質の減少の偏りは、より一般的である。ハイコウイクチス、マヨミゾン、そしてハルディスティエラのようなバイオミネラル化されていない化石脊椎動物の解剖学を解釈する際、この偏りを考慮する必要がある。
印象的な図
Fig2. 円口類の解剖と減少
雑記
この論文はもう少し丁寧に読みたい
チューリングパタン形成の非線形解析
Yanyan Chen,Javier Buceta(2019.8, PLOS ONE)[A non-linear analysis of Turing pattern formation]
理由
パタン形成の復習
概要
反応拡散案は多様な分野で現象をモデル化し解釈するのに広く用いられている。この文脈で、チューリング不安定性で駆動される現象は、特に大量の生物学過程におけるパターニングを記述するのに関連する。チューリングパターンの見た目やそれらの波長を決定する条件は線形解析で簡単に得られる一方で、パターン増幅の推定には、非線形項のため面倒な計算が必要になる。ここでは、パターン増幅の解析的・近似的解を得られる拡張方法を紹介する。数値計算から得た結果で、この方法の信頼性を調べ、示す。
雑記
ついにクーラー付けた、ってもう今年言ったっけ?
つるばら"Red Queen"の茎のトゲの空間パタンの発見とパタンの数理モデル
Kazuaki Amikura;...;Miho S. Kitazawa (2021.7, Scientific Reports)[Discovery of spatial pattern of prickles on stem of Rosa hybrida ‘Red Queen’ and mathematical model of the pattern]
理由
昔bioRxiv版を論文紹介したやつが査読を通ったようなので
概要
多くの生物の発生パターンは、因子の拡散によって調節されている。ここでは、抑制因子の拡散によって調節されるような植物の茎での新しいパターンを報告する。バラの茎のトゲはランダムに分布しているように見えるが、つるばら"Red Queen"の茎でのトゲの空間パターンを発見した。トゲは最初に葉原基を繋ぐ空間葉序から90°から135°の角度で現れる。空間パターンの出現を説明し、バラの茎上のトゲの密度分布を再現する単純な数理モデルを提案した。このモデルが、他のモデルパラメーターを用いて他の植物種の茎で観察されるトゲパターンを再現できることを確認した。これらの結果から、異なる植物種の茎の空間パターンは同じシステムで調整されることが示された。ヒトのバラ栽培は長い歴史がある。しかし、トゲの発生はまだ不明であり、これは数理モデルを用いたトゲの空間パターンの最初の報告である。他の植物種の空間パターン、ゲノムそして代謝系を複合的に解析することで、トゲの発生に関する新しい概念を導く可能性がある。
雑記
前読んだ時よりえらくこざっぱりしてるぅー
胚形成における円状パタン形成の収縮-反応-拡散モデル
Tiankai Zhao,;...;Hongyan Yuan(2021.5, bioRxiv)[A contraction-reaction-diffusion model for circular pattern formation in embryogenesis]
理由
ラボSlackだっけ?
概要
反応拡散モデルは、発生生物学におけるパタン形成を理解するのに広く用いられてきた。最近では、幾何的に閉じ込められた多能性幹細胞を用いて、ヒトの初期発生イベントを模倣する細胞運命パターニングのモデル化にも応用されてきた。しかしながら、従来の反応拡散方程式は、多様な細胞種の多重の円分布を満足に説明することはできなかったので、円状のドメインであっても円パターンを生み出さない。リングパターンを生む従来の数理モデルにおいて、生物物理的な理解が欠けている特定の条件が反応拡散モデルで考えられてきた。ここでは、円パターンが従来の反応拡散モデルに物理生物要因を組み合わせた結果であるという仮説を立てた。この2つの共役方法を提案する。1つは組織の張力依存的な拡散流入、もう一つはシグナル分子の牽引応力依存的な活性化である。弾性方程式に反応拡散方程式に組み合わせることで、収縮-反応-拡散モデルが自然に円パターンを生むことを計算機的に示す。
雑記
そろそろ1000記事行くけど、どうしよう。その後もダラダラ続けるか
上皮の折りたたみが、カブトムシの角の最終形を決定する
Hiroki Gotoh; ... + Laura CLavine (2021.8, Current Opinion in Genetics & Development)[Epithelial folding determines the final shape of beetle horns]
理由
夏付近のセミナーかなんかで見つけた
概要
コガネムシに見られる無数のツノのような、性淘汰の精巧な腕や武器は、進化の最も驚くべき結果である。これらの新しい特徴が生じ、発生し、条件に反応する方法は、細胞内シグナル、細胞間シグナル、動物間のシグナル、環境の協調を必要とする複雑な一組の相互作用によって支配されている。外分泌因子、発生パターン遺伝子、そして性特異的な遺伝子発現は、カブトムシのツノサイズ、形、そして位置を制御することが示されてきた。しかし、ツノの形の全体のメカニズムは説明されていない。顕微鏡観察と計算機解析を機能遺伝解析と組み合わせる最近の進歩によって、内部の上皮折りたたみと移動を組み合わせるパターニング遺伝子は、カブトムシの頭のツノの最終形の原因となることが示された。
印象的な図
Fig1. カブトムシの三又の頭のツノの最終的な三次元(3D)構造は、上皮の折りたたみと展開の2段階過程の結果である
雑記
形態形成のシミュレーションは楽しいね
皮膚の再生能力と免疫系
Tsepkolenko A;...; Giri S. (2019.)(2019.7,Clin Cosmet Investig Dermatol.)[The regenerative potential of skin and the immune system. ]
理由
自分の研究関連
概要
皮膚は、治療と複雑な免疫過程のネットワークによって制御される死細胞の置換を行う自然な能力を持つ。この能力は、他の細胞と協調して働くような常在免疫細胞の集団によって提供され、一定の問題下で恒常的な環境を与える。構造と完全性を与えるだけでなく、表皮と真皮も異なる免疫特性を提供する。真皮部分では、免疫細胞の配列に従う線維芽細胞と内皮細胞が代表的である。ここでは、樹状細胞(DCs)、マクロファージ、マスト細胞、NK細胞、好中球、好酸球、αβTリンパ球、B細胞そして血小板が含まれる。一方で、表皮の機能的に活性な免疫細胞には、角質細胞、DCs,NKT-cells, γδ T cells and αβ T cells (CD4+ and CD8+)が含まれる。角質細胞は、免疫認識と細胞分化を促進することで、免疫系の細胞の特異な微小環境を作り出す。Tリンパ球は、表皮に向けた組織特異的な屈性と、免疫制御の機能にリンパ液排出系を示す。免疫制御のこの多様性によって、皮膚は病原体や異物の侵入を克服できる。さらに、高度に強調する分子事象によって、皮膚はその再生能力を理解し探索するのに魅力的なモデルになる。
雑記
今日は虚無の日
細菌、戦艦、そしてそれ以上の革新の景観
Terence C. Burnhama and Michael Travisano(2021.6, PNAS)[The landscape of innovation in bacteria, battleships, and beyond]
理由
ラボSlackに流れてきた
概要
細菌実験進化と海戦からの教訓を示し、金融市場での革新の理解を促進する。主な金融革新はしばしば明示的な社会計画なしで生じる。その理由は、新しい方法は自然選択とかなり平行な方法で市場に好まれる可能性があるからである。適応地形の概念を利用して、革新のスピードと大きさを増加させる環境を特徴化する。この適応地形の枠組みを、ポートフォリオ管理における革新に応用する。革新を理解し、育む一般的な分類を作る。
雑記
こういう論文もあるのな