これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

皮膚エリテマト-デスの臨床所見

Annegret Kuhn;...;Gisela Bonsmann(2007.11, J Dtsch Dermatol Ges.)[Clinical Manifestations of Cutaneous Lupus Erythematosus]

 

理由

自分の研究関連

 

概要

皮膚エリテマト-デス(CLE)は、幅広い臨床所見スペクトラムと多様な時間変化を持つ慢性炎症性自己免疫疾患である。大量の研究から、紫外線や薬剤のような外部因子がこの疾患を引き起こす可能性が示された。しかしながら、全ての臨床側面が説明されたわけではなく、それゆえCLEの病因について最近多くの研究が成されている。LEの多様な皮膚所見は、組織的基準に基づいてLE非特異的な皮膚疾患とLE特異的な疾患に分類される。LE非特異的な所見はほとんど全身性のLEと関係するが、他の疾患でも起こり、爪の毛細管拡張症のような血管周囲の皮膚疾患も含む。LE特異的な皮膚疾患は、急性皮膚LE(ACLE)、亜急性皮膚LE(SCLE)、慢性皮膚LE(CCLE)そして周期的CLE(ICLE)などのサブタイプを含む。異なる予後と経過をもつこれらのサブタイプは遺伝的、臨床的、組織的かつ血清学的知見で支持された。CLEのサブタイプは、特異的な形態と臨床解析を必要とし、これはこの総説の最初の部分で説明する。この総説の二番目の部分では、更なる診断過程とCLEの患者の治療戦略を議論する。

 

印象的な図

Fig.2 SCLE: Annular subtype with polycyclic confluence in sun-exposed areas

 

雑記

面談、つかれたー

共有された発生プログラムは、鳴き鳥のくちばしの形の多様性を強く拘束する

Joerg A. Fritz;...;Michael P. Brenner(2014.4, Nature Communications)[Shared developmental programme strongly constrains beak shape diversity in songbirds]

 

理由

ラボSlackに流れてきた

 

概要

鳥のくちばしの形の驚くべき多様性は自然選択の結果であるが、このような多様性の生成においてくちばしの発生の過程によって課される制限の相対的な重要性は不明である。これらの因子を解明するには、これまで研究されてきたモデル系をはるかに超える系統の発生メカニズムをマッピングする必要がある。この問題に対して、多様なグループの鳴き鳥におけるくちばしの形を比較形態的に解析する。ここでは、増殖性成長領域の動態は、形の3つのパラメーター(長さ、深さ、剪断角度)で拘束されるくちばしの多様性を持つという観察された多様性を説明する制限ルールに従わなければならないことが示された。キンカチョウ の発生中の胚性くちばしにおける細胞増殖を解析することでこれらの予測を実証した。結果から、多くの鳴き鳥におけるくちばしの形の変動性は、成長領域を制御する発生プログラムの共有される特徴で強く拘束されていることが示唆された。

 

印象的な図

Fig1. くちばしの形の系統・形態構造

 

雑記

かわヨ

2D上皮シートでの複雑なしわがカブトムシのツノの3D構造を指定する

Keisuke Matsuda;...; Shigeru Kondo (2017.10, Scientific Reports)[Complex furrows in a 2D epithelial sheet code the 3D structure of a beetle horn]

 

理由

こないだ聞いたセミナーで見つけた

 

概要

完全変態昆虫の外部器官は、2つの構成過程から生じる。1つは成虫原基の発生、もう一つは成虫の構造に変化する一連の変形である。後者の過程で、細胞レベルで多くの現象(細胞の変形・細胞の移動・上皮シートの折りたたみや展開)がサイズや形で見られる劇的な変化に寄与する。この複雑性によって、成体の外部器官の3D構造の形態の背景にある論理は、ほとんど知られていない。この論文では、カブトムシ(Trypoxylus dichotomus)におけるツノの変形を調べた。ツノ原基は、元来密なしわを持つ2D上皮シートである。3つの異なる方法を用いてこれらのしわを実験的に展開した。そして、しわパターンが単独で3Dツノ構造を決定することを発見した。このことから、カブトムシのツノは2つの異なる過程1つは、しわの形成とそれに続く展開から起こることが示唆された。この発生の単純性によって、昆虫の3D形態形成を支持する原理を理解するために固有の利点が与えられる。

 

印象的な図

Fig4. ツノ原基の展開の計算機シミュレーション

 

雑記

ねむーい

全身性エリテマトーデス:最新

Carina M Grönhagen and Filippa Nyberg(2014.1, Indian Dermatol Online J.)[Cutaneous lupus erythematosus: An update]

 

理由

自分の研究関連

 

概要

全身性エリテマトーデス(LE)は、多くの異なる症状を示す慢性の自己免疫の多臓器疾患である。局所的な皮膚エリテマトーデス(CLE)はスペクトラムの一端で、もう一端は重度の全身性(SLE)である。LEの根底にある原因は未知であるが、その病因は多因子かつ多遺伝子であると考えられている。CLEは外観を損ねる慢性皮膚疾患であり、患者の毎日の生活に大きな影響を伴う。CLEは3つの主なサブセットに分けられる:急性CLE(ACLE)、亜急性CLE(SCLE)そして慢性CLE(CCLE)である。古典的な円状エリテマトーデス(DLE)が最も一般的な形態である。これらのサブセットは、臨床症状、症状の平均持続期間、そして組織的かつ血清的発見で定義される。しかし、3つのサブセットは臨床特徴に重なりがある。CLE患者は、日光にさらされた領域に多い、はっきりした皮疹を示す。この疾患は、紫外線によって誘導、悪化しうる慢性かつ再帰性の進行を示す。いくつかの異なる診断があることから、生検により病理組織学的にCLEの診断を確定することは重要である。CLEは慢性疾患であるため、定期的なフォローアップが重要であり、全身治療が必要な場合もある。

 

印象的な図

Fig2 臨床写真

 

雑記

何も予定がない日は気が抜けて昼まで寝てしまう

皮膚ループス:進歩と困難

Petty AJ;...;Nicholas MW.(2020.4, Curr Allergy Asthma Rep.) [Cutaneous Lupus Erythematosus: Progress and Challenges.]

 

理由

自分の研究関連

 

概要

総説の目的

この総説では、皮膚ループス(CLE)の診断、病因そして治療に関する最新情報を与える。

最近の発見

皮膚特徴を持つ全身性ループスと異なる別の疾患としてCLEをよりよく定義することと、臨床、組織、実験的特徴に基づいてCLEを分類することに診断の難しさが存在する。最近のメカニズム研究から、CLEに関連する、より遺伝的な変異や環境因子、そして免疫不全が解明された。CLEを引き起こす最も重要な因子の一つとして特に薬物誘導が挙げられた。治療選択には、外用剤と全身治療に加えて、臨床試験で良い臨床効果を示したべリムマブ、リツキシマブ、ウステキヌマブ、 anifrolumabそしてBIIB059などの生物学的製剤も含まれる。

結論

CLEは複雑かつ異質な疾患のグループである。今後の研究によって、皮膚ループスのスペクトラム内のCLEのより良い定義が保証される。CLEの病理に関する更なる知見は、より標的形の治療の設計を促進する可能性がある。

 

印象的な図

Fig2. 亜急性皮膚ループス

 

雑記

久々に症例報告よんだなぁ

ノイズのある線形変換がバクテリアにおける細胞サイズと遺伝子発現の振動の根底にある

Yu Tanouchi;...;Lingchong You(2015.7, nature)[A noisy linear map underlies oscillations in cell size and gene expression in bacteria]

 

理由

昨日読んだ論文と関連して面白そうだったので

 

概要

細菌は成長の間、分裂前に細胞のサイズは約2倍になり、その後2つの娘細胞に分かれる。この過程は、細胞ノイズの本来の摂動を受けるので、細胞サイズの恒常性の制御を必要とする。細胞サイズの制御と動態の根底にあるメカニズムは、ほとんど理解されていない。その原因は、ハイスループットな方法で長期間の個々のサイズを測るのが難しいことによる。ここでは、異なる大腸菌系列間と成長条件で長期間・単細胞の成長と分裂を測定し、解析する。集団内の細胞サブセットはいくつか(10以上)の世代で伸びうる周期で細胞サイズの一過的な振動を示す。我々の解析から、細胞サイズ制御を支配する単純な法則-ノイズのある線形変換-が、全ての系列のこれらの細胞サイズ振動の起源を説明することが示された。このノイズのある線形変換が細胞サイズの制御に関する負のフィードバックを実装する。すなわち初期サイズが大きい細胞は早く分裂する傾向があり、初期サイズが小さい細胞は遅く分裂する傾向がある。実験データと細胞成長と分裂のシミュレーションを組み合わせることで、このノイズのある線形変換が、ただ細胞サイズだけでなく構成的な遺伝子発現における一過的な振動を生み出すことを示す。この研究から、関与する生理過程の解釈と合わせて細菌の細胞サイズ制御の動態に関する新たしい概念が与えられる。

 

雑記

(初期サイズが大きい細胞は早く分裂する傾向があり、初期サイズが小さい細胞は遅く分裂する傾向がある。)言われてみればそうだろうけど、定量的に示したのはとても偉い。

ニューラルネットワークを用いた点過程によるサイズ制御則の表現と推論

Atsushi Kamimura and Tetsuya J. Kobayashi(2021.7, PHYSICAL REVIEW RESEARCH)[Representation and inference of size control laws by neural-network-aided point processes]

 

理由

Twitterで見かけた

 

概要

細胞の成長と分裂の制御と調整は、細胞生理学における長年の問題である。微小流体デバイスを用いる最近の単細胞測定から、細胞の多様な生理パラメーターに関する定量的な時系列データが与えられた。その制御理論と細胞サイズなどの関係する関連パラメーターを解明するため、単純な数理モデルを構築し、それらの能力に基づいてモデルを検証し、測定データの再現を試みた。しかしながら、特にデータが多次元であるとき推定される仮説や単純化によって、このモデルはデータのいくつかの側面を捉えられない可能性がある。さらに、実証のためのモデルとデータとの比較は、ノイズのある多次元データを扱う際に重要である。よって、データに隠された法則を抽出するために、ノイズのある多次元データを従来より柔軟にかつ徹底的に扱い統合できる新しい方法が必要であり、有効である。例えば細胞サイズを制御することで、この問題は、元々は履歴依存的な時間的点過程のため開発されたニューラルネットワーク(NN)法で対処されることを示す。NNは決定論的関係とノイズ分散の関数形を柔軟に示すことで、与えられたデータから履歴依存的な決定論的因子と説明できないノイズを効果的に分離できる。この方法を用いて、バクテリアと分裂酵母の誕生と分裂のサイズ分布を示し、推測する。アダ―モデルのような、既知のサイズ制御メカニズムは履歴におけるサイズ分布の条件的な依存性として解明された。さらに推測NNモデルから、従来の記述統計量よりモデルの探索に優れたデータを与えることが示された。よって、隠れた動的法則を解明するためにノイズのあるデータを処理する強力な道具としてNN法は機能するだろう

 

雑記

将来的にはこういう分野も使わねばならんのよな