これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

枯草菌によって作られる時空間パターンのモデリング

Kawasaki, K;…;Shigesada, N(1997.9)[Modeling spatio-temporal patterns generated by Bacillus subtilis]

 

理由

望月先生シリーズ4

 

概要

薄いアガープレート面で成長する枯草菌というバクテリアのコロニーは栄養濃度やアガー培地の硬さ、そして温度などの環境状況に応じて様々な形態パターンを示す。例えば、貧栄養半固体アガー培地では滑らかな円形の気嚢(DBM様)を持つ密集分岐型を示し、栄養濃度とアガーの柔らかさの両方が上がると、単純な円盤様のコロニーに変わる。これらのパターンはコロニー内の細胞移動が関与することが分かっている。DBM様のコロニーでは、個々の細胞は活発に動き、特にコロニーの外縁を広げようとする一方、栄養がとても少ないようなコロニーの内側の範囲では動かなくなる。円盤様のコロニーでは、コロニー全体の範囲で細胞がかなり活発である。このような実験的観察に基づいて、反応拡散モデルを作成した。ここでは、密度依存的な細胞の移動を非線形な拡散に組み入れ、細胞数の局所成長は細胞が得られる栄養濃度量によって制御されると考えられる。異なる環境条件下でモデルの数値計算を行うと、単一の系でDBM様のパターンから一様な円盤様のパターンまで様々なコロニーパターンをほとんど再現できた。解析によって、コロニーの成長速度は栄養濃度の関数であることも予測される。

 

印象的な図

FIG3. コロニーパターンの再現

 

雑記

こういう論文を学部の頃読んでいたら、もっとはやく数理生物に興味持ったであろうに・・・。